2012年7月25日水曜日

ローマの名作彫刻


古代から中世、近代まで、たくさんの素晴らしい芸術作品を身近に触れることができるローマで、私が最も好きな彫刻を2点ご紹介します。


サン・ピエトロのピエタ (Pietà vaticana)




サン・ピエトロ大聖堂所蔵。
1500年、ミケランジェロ作、大理石製。

ローマ観光のMustスポットとして、あまりにも有名なこの像ですが、やはりこの素晴らしさは世界一です。
慈悲に満ちあふれた聖母マリアの表情、彼女にしっかりと抱き包まれている魂無きイエスの肢体の脱力感のコントラストが素晴らしく、実物を前にすると思わず心を吸い寄せられて放心状態になってしまいそうです。
静かな哀しみが、石像全体からさざ波のように見る者の心へ押し寄せてきます。

ミケランジェロ25歳の時の作品とのこと、後にも3体のピエタ像が制作され(全て未完成)イタリア各地の著名な美術館で見ることができますが、ピエタ像としてはこのサンピエトロの作品の素晴らしさには遠く及びません。

この素晴らしい魅力(魔力?)に吸い寄せられてか、像の前で正気を失った人物に過去に2度に渡って破損された痛ましい経歴があるそうです。
そのために、展示のセキュリティーが大変厳しくなってしまい、像はガラスケースで覆われ、さらに柵やロープで近づけないようになっていて、それも行く度に見学者との距離が変わっているような気がします。(私の記憶では5年前に初めて訪れた時が一番遠かったような。。)
ちなみに、私の母が初めて訪れた時(40年以上前)は、もっと気軽な雰囲気で展示されていたそうです。





夫婦の陶棺 (Sarcofago degli Sposi)





ヴィラ・ジュリア国立博物館所蔵。
紀元前500年頃にエトルリア人により制作、テラコッタ製。

まるで語りかけてきそうな自然な表情でリラックスした雰囲気のこの夫婦像、今から2500年も前に作られたとは全く信じられないほどです。
穏やかに横たわる妻の肩にそっと手を置く夫の優しい微笑みが、現代にも魂が生き続けているかのように感じられます。

この像のあるヴィラ・ジュリア博物館は、紀元前8世紀にイタリア中部で始まったとされるエトルリア文化の発掘物が展示されています。
古くから高度な文明を持ったエトルリア人ですが、後に古代ローマ人との度重なる戦いの中で紀元前1世紀頃にはローマ人と同化してしまいます。

  


                    *

ローマに暮らしていることを幸いに、時間があれば、又、近くをに出かけるついでがあれば、度々これらの作品と再会するために足を運びます。
どちらも対面するたびに、心が静かに満たされるような落ち着いた気分になり、私にとって大きなヒーリング効果をもたらしてくれるようです。


サンピエトロ寺院は、入場無料なので、いつでも気軽に出かけて行ってセキュリティーチェックの列に並ぶのみです。
ただし教会なので、夏場はうっかりキャミソールなどで行くと入場を拒否されるのでご注意。

ヴィラ・ジュリア博物館は 市内中心部からちょっと離れており、ボルゲーゼ公園の北側にあります。
交通は、地下鉄Ottaviano駅もしくはPoliclinico駅からトラム19番線に乗り、現代美術館前(galleria nazionale d'arte moderna)で下車します。

ヴィラ・ジュリア博物館


Map Villa Giulia

 Museo Nazionale Etrusco di Villa Giulia

 所在地:Piazzale di Villa Giulia, 9
開館時間:火〜日 8:30-19:30
入場料金:8ユーロ








0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。