2012年10月20日土曜日

ローマオペラ座


ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニなど、数多くの偉大なオペラ作曲家を輩出しているイタリア。
機会があれば本場の歌劇場へは是非とも足を運びたいものです。

ローマを代表するオペラ座劇場は、テルミニ駅にほど近い場所に位置し、出かけるにはとても便利な立地です。



オペラ座外観
 設立は1880年。
当時は、私財で建設したオーナーの名前をとって「コスタンツィ劇場」と名付けられました。
現在も残る天井の豪華なフレスコ画は、その当時から残るものです。

この頃はイタリアオペラの全盛期。
1900年には、ローマを物語の舞台にしたロッシーニの「トスカ」が、ここオペラ座で初演され、大成功を収めました。

又、1893年には、晩年のヴェルディの最後のオペラ作品「ファルスタッフ」が大絶賛の中、上演されます。
公演終了後の夜、79歳のヴェルディはオペラ座と背中合わせに位置するクイリナーレホテルに宿泊し、大成功の興奮冷めやまぬ団員達が深夜のホテルの窓の下でヴェルディのために演奏を行ったそうです。
当時の記録は歴史的一場面として、現在もクイリナーレホテルの外壁に書き記されています。

ホテル・クイリナーレ

 その後のファシズム政権時代には、ローマ市の所有となり、名前を「王立歌劇場」に変更されます。
劇場内の舞台上部の壁には、当時の権力者であったムッソリーニと国王ヴィットリオ・エマヌエーレ3世の名前が今でも刻まれています。

そして、王政崩壊後には、現在の「ローマオペラ座」の名前が定着しました。


このような激動の歴史を経たオペラ座ですが、実際訪れてみると、威圧感とは無縁のこぢんまりして落ち着いた気分で観劇を楽しめる、とてもリラックスした空間です。

客席
 客席は、全19列の平土間部分の座席を取り囲むように4層のBox席が並んでいます。
各Boxの定員は4〜6人、プライベート感を楽しめます。

サイドBox拡大

各Boxへは、それぞれ専用の木製の小さなドアを開けて入ります。
ドアの上にギリシア数字でBox番号が書いてあり、なんとなくレトロなアパート廊下のようなムードです。

Box席入口ドア

オーケストラピット

 昨日は、今シーズン最後のバレエ公演「ロミオとジュリエット」を鑑賞しました。
物語はすっかり熟知されている有名なシェイクスピアの戯曲ですが、さすが物語の本場であるイタリアだけに、演技にも臨場感があり、物語の世界に吸い込まれていきます。

オペラ座HPより。




2012年10月15日月曜日

山頂の修道院


イタリア国内には、上の写真のように、山の頂上に寄り添うように建物が立ち並ぶ小さな町が数多く存在します。
おそらく遠い昔に、下界の外敵や疫病から身を守るために、あえて不便な場所に人々が集まって出来たのではないでしょうか。

今回は、そんな町の1つにある、修道院の改装工事計画に立ち会う機会があって、通常ではなかなかお目にかかる事のできない大変貴重な物を見学する機会に恵まれました。

訪れたのは、ローマから東へ30kmほどにある山頂の町。
カーナビでは名前も表記のない地域の曲がりくねった山道をぐんぐん登っていきます。

 さすが山頂だけに、昼過ぎにも関わらず、視界は軽い霧に覆われています。
静かな町の中を進み、さらに山道を登っていくと、やっと目当ての修道院に到着です。

庭と展望テラス

 広大な敷地には、屋根付きの展望テラスがあり、夏場には地域の住民達が集まってバーベキューなどを楽しむそうです。

見渡す限り緑が続く、素晴らしい眺望には素直に感嘆してしまいます。
ローマの喧騒からわずか30キロとは信じられないような別世界が広がります。

テラスからの眺め1
テラスからの眺め2

さて、肝心の修道院建物のほうですが、築50年程度と意外に新しく、石造りの4階建てです。
 斜面に建っているため、2階部分が表玄関となります。
単色に塗られた地味な外観のため、教会であることは地元の住民しか分からないのではないでしょうか。
 
教会の入口
 現在は建物には誰も住んでおらず、毎週日曜日にローマ市内の教会本部から神父がやってきてミサを開いているそうです。
礼拝堂
 私が訪れたのは平日昼間であったため、建物は全て施錠されており、薄暗い建物を1つ1つ鍵を開けてもらって電気をつけて中に入っていき、まるで「お化け屋敷探索」のようなムードでした。

 礼拝堂の下、1階部分は住居の造りになっており、10年ほど前には管理人である老婆が1人で暮らしていたそうです。
住居部入口

かつての居間部分
かつての台所
 2〜4階部分は、各地から集まる修道士学生が宿泊できるようにと、全25室のシングルルームが並んでいます。
現在は壁と窓のみで、内装工事は完成しておらず、裸電球の下、ハエが飛び交う寂しい空間です。

計画では、全ての部屋をバスルーム設置のホテ並みのシングルルームに仕上げ、2階部分は宗教学生が暮らし、上階はホテルとして貸し出して収益を上げようと考えているそうです。

修道院経営の質素なホテル、下界の喧騒を忘れてひと夏をのんびり過ごすにも良いかもしれません。

宿泊棟外観
将来の客室1

将来の客室2