幹がヒューっと長く、上のほうだけ雲のように松葉が茂ったユーモラスなスタイル。
通称Pino a Ombrello(又はPino Domestico)、日本語に訳すと「傘松」といったところでしょうか。
姿もユーモラスながら、この木になる松ぼっくりも大変個性的です。
とにかく巨大なんです。
全長15センチほどあり、1つ1つのカサも固く厚みがあり、これが頭上に落下したらひとたまりもないのでは、という恐怖すら感じます。
(実際、頭上にヒットしたという数奇な運命の方には出会ったことはありませんが。)
幸運にもこの松ぼっくりを道ばたや公園で見つけたら、すかさず拾って自宅へ持ち帰ります。
目的は、このカサの間に宿るPinolini(松の実)の採取です。
上の写真の前方に写っているのが、カラに入った状態の松の実、これがカサの1つ1つの間に収まっているのを手でほぐして取り出します。
そして、このカラを親指と人差し指でしっかり固定して、金槌で割り砕き(結構カタいです)、さらに薄皮をはがすと、真っ白い松の実が姿をあらわします。
1つの松ぼっくりから採取できる量は10g程度。
意外に手間と力がいるので、スーパーで買うのとは一味ちがった満足感があります。
松の実はそのまま冷蔵庫で保存し、さまざまな料理やお菓子に活用できます。
イタリアンでは代表的なスパゲッティー・ジェノベーゼには砕いた松の実がふんだんに入っています。
個人的には、ハンバーグに混ぜ込むと、食感に変化が出て美味しいと思います。
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少々話題が反れますが、ローマの松といえば、イタリア人作曲家レスピーギの交響詩「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭り」という作品が「ローマ3部作」と呼ばれて大変人気があり、地元オーケストラによるコンサートなどでたびたび好まれて演奏されます。
若輩の私が聞いてもまだいまいちピンと来ませんが、いつの日かローマを離れた後、この曲を聞いて街の様子を懐かしく回想する日がくるのかもしれません。