2013年12月14日土曜日

Coppedè地区





Quartiere Coppedè

1915年頃に開始された、ローマの建築特別地区プロジェクト。
主任デザイナーとして、フィレンツェ出身の建築家、彫刻家かつ装飾デザイナーであるGino Coppedèが全ての設計を担当する。

 当時最盛期であった、アールデコやリバティー様式を基軸とし、それに加えて中世風、マニエリスム、バロック様式のテイストも合わせた装飾的で豪華なデザインが特徴。

 地区内には17の邸宅(Villino)、26の建物(Palazzino)が点在する。





学校で配布されたプリント

そもそもローマにあるこの特異な地区を知ったきっかけは、今から7年前。
当時通っていた語学学校の授業で、コッペデ地区に関する文章のプリントが配られました。
初心者レベルの生徒を全く無視した意味不明のイタリア語の羅列。。。
でも内容にはとても興味があったので、いつか将来イタリア語がスラスラと読めるようになったら、このプリントをガイド代わりにコッペデ地区を探索してみようと強く誓ったものでした。

7年経った今、語学レベルの上達は依然見込めない状態ではありますが、これ以上待っても変化はなさそうなので、辞書を片手に分かる部分の言葉を繋げておおよその解説を予習、そして現地へ向かいました。

                 ※

場所は、観光の中心からは離れており、ボルゲーゼ公園の北東に位置します。

地区の入口。アーチ下には鉄製のシャンデリア。
アーチ脇の聖母子像。
アーチをくぐると、まるで異次元のような空間が目の前に広がります。

Mincio広場。
広場の中心にあるのが、カエルの噴水、そして背後に「妖精の家」と呼ばれる邸宅。



カエルを拡大。
妖精の家。広場正面から。
外壁にはバラエティーあふれる装飾が施されており、どの角度から眺めても興味深い建物です。

壁面に描かれた日時計。
解説書によると、この広場に面する「蜘蛛の家」と呼ばれる建物もCoppedeの代表的な建築の1つだそうです。


 玄関周り、2階窓まわりの装飾、その上のバルコニーが、それぞれ違った表情で訪問者を楽しませます。

建物名の由来である蜘蛛の装飾。

広場をぐるりと見渡した後は、周辺の通りをランダムに散策します。

モロッコ大使館

コンゴ大使館
ガイドブックなど無くても、コッペデ建築を見分けるのは一目瞭然。
独特な装飾に共通点を感じます。

ロシア館
 全ての建物が、今から80年ほど前の建築ですが、よく見ると現代の快適な生活環境を維持できるよう、注意深くメンテナンスが施されているのが分かります。

繊細な装飾はこまめに塗り直しや修復がされています。
窓は機密性に優れた最新のサッシとペアガラスに付け替えられています。
エアコンの室外機等は、外観を損ねないよう、たくみに隠して設置されているのでしょう。


 このエリアを散策していると、どことなくウィーンの町を歩いているような気がしてきました。
そんな事を感じ始めている時に、グットタイミングにも!

オーストリア大使館
美しく蔦の絡まるこの建物も、明らかにコッペデ建築と思われます。

この地区には、合計45軒ほどのコッペデ建築が点在しているとのこと。
確かに初訪問の私でも、沢山の作品を見つけることができました。
どの建物もプライベートなので、中を見学することが出来ないのが残念です。

ですが、観光地化されない分、それぞれの持ち主が愛情を持って長年メンテナンスを続けているおかげで、80年経った今も現役で快適な生活空間を維持しているのは素晴らしい事です。



- Quartiere Coppedè -

トラム3番、19番Piazza Buenos Aires 下車。




2013年12月6日金曜日

オペラ座オーケストラのコンサート



金曜日、朝10時半。
普段は夜のみ公演が行われるオペラ座ですが、今日は朝からすごい人だかりです。



今日はオペラ座オーケストラによる特別コンサートが開催されます。
曲目は、有名なヴィヴァルディの「四季」と「グローリア」。
しかも料金も特別大サービスで、普段はなかなか足を踏み入れられない平土間席、BOX席からバルコニー席まで、全席たったの10ユーロ(25歳以下と65歳以上は5ユーロ)!


 客席は10代半ばくらいの少年少女が多く、どうやら学校の先生に引率されての校外学習の団体のようです。
その他の観客は平日朝ということもあって高齢者が多く、ということは、正規料金10ユーロを払っているのは私を含め、ほんの数人だけ。。。!?

その件はまあ、よいとして。

オペラ座オーケストラは、普段はオペラ、バレエの舞台の下の狭いオーケストラBOXにて演奏していますが、時々このような特別コンサートを開きます。
表舞台の上でメイン演奏する稀な機会ということもあってか、張り切りムードに溢れていて、新鮮でアットホーム、 毎回この特別公演は楽しみです。


今日はオーケストラBOXの床が高く設置されています。

定刻を10分くらい過ぎて客席が暗くなり、いよいよコンサートのスタートです。

まずは、オーケストラによる「四季」の演奏。
実はこの曲、今までに聴く機会は何度もあったのですが、冒頭の「春」の部分はともかく、その後に続く夏、秋、冬の切れ目が分からず、聞き流しているうちに終わってしまうという悩みがありました。
そんな悩みも今日で解決です。
というのは、今日のコンサートでは、コンサートマスターによる解説付き。
各季節のパートが始まる前に、曲の説明、そして注目すべき部分をちょっと演奏して説明してくれ、更にマスター自ら詩(ソネット)の朗読までして、大張り切りです。

夏はカッコーの鳴き声に始まり、飛び交う蚊のうなる音。
秋は収穫祭。
冬は雪がシンシンと降る中、家の暖炉の前で暖かく過ごす様子が想像できます。

演奏終了後、鳴り止まぬ拍手に応えて、マスターによるヴァイオリン速弾き技(?)まで披露され、素晴らしいムードで第1部は終了しました。

第2部は、コーラス隊が加わっての宗教曲「グローリア」
こちらは全12曲、通しての演奏でした。


客席の子供たち、外では元気に大はしゃぎしていますが、TPOはしっかりとわきまえているらしく静かに熱心に鑑賞している姿は印象的でした。
熱心な様子は分かるのですが、前半では妙なタイミングで拍手をしてしまう生徒がけっこういて、休憩時間に先生から注意のお達しが出たようです。
第2部では曲の合間に誰かが拍手しそうになると「シー、シー!」とあちこちから聞こえ、自制しあっている様子が可愛らしかったです。

約2時間でコンサートは終了。
「四季」の季節ごとのパートがやっと理解できた喜びもあって、代金の10倍くらい払っても惜しくないような、とても充実した朝のひとときでした。









2013年12月3日火曜日

Santa Maria Addolorata 教会


いつもトラムで通過する道すがら、立派な構えの気になる教会があります。
いつか中を覗いてみようと思いつつ、数年が経過してしまいました。
今日は天気も良いので思い切って途中下車して見学することにしました。


Santa Maria Addolorata a Piazza Benos Aires
 (直訳:ブエノス・アイレス広場にある悲しみの聖マリア教会) 

1930年、アルゼンチンの神父 José León Gallardoを創始者として建立された、ローマ初の南米クリスチャンによる教会。
7階建ての鐘楼を持つ、2階建ての初期キリスト教様式の建築。


この教会のある広場は「ブエノス・アイレス広場」と名付けられており、言われてみればアルゼンチン系の教会を連想させます。

入口の扉の上にはアルゼンチンの国旗のモザイクが掲げられています。


そして、「ようこそ!」のポーズをとったフランチェスコ法王の写真が!


中へ入ると、薄暗く、木造の小屋組み天井、そして正面のモザイク画に目を奪われます。


 キリストの亡骸を抱いて悲しみに暮れる聖マリアの像、この教会の名前の由来です。



訪れたのが平日の午前だったせいか、地元住民と思われる中高年者がフラリと入って来ては入口で十字を切り(キリスト教徒は教会に入る際に必ずこの動作をします)祭壇前にしばらく佇み、そして出ていく、という姿を多数見かけました。
いつでも誰でも気軽に訪れ、ひととき心を鎮めることができる教会は、地域住民の生活の一部として溶け込んでいるようです。

この教会では、南米人のためにスペイン語によるミサが行われているようです。
遠い母国からやって来てローマで暮らしている移民達の心のよりどころにもなっているのでしょう。



 Chiesa di Santa Maria Addolorata a Piazza Buenos Aires











2013年8月15日木曜日

ローマでサッカー観戦(国際親善試合)


今年のセリエA新シーズンは8月25日開幕です!
開幕に先立ち、今年は特別な親善試合がローマ・オリンピコにて開催されました。

イタリア 対 アルゼンチン (8月14日20:45)

今年3月のコンクラーベで選出された新教皇フランチェスコの出身国、そしてサッカー強国としても有名なアルゼンチンとの親善試合が実現しました。
実は、開催が発表された5月の直後、アルゼンチン側がスケジュールの都合がつかないということで一旦キャンセルが決定したこの試合、最終的には説得に成功したのか、やっぱり開催!ということになった経緯があります。
ラテン人同士のノリの良さが幸いしたのかどうか、とにかく良かったです。

 試合前日の13日には、両国の代表選手団がバチカンへ表敬訪問を行った様子がニュースになりました。
出場予定選手は、イタリア中心にヨーロッパの強豪チームで活躍する超有名選手がズラリ。
これは大変お得な試合です。

と期待していたところ、前日になって、メッシ(アルゼンチン)が筋肉疲労、バロテッリ(イタリア)が右膝不調との理由で出場キャンセルのニュースが。
2大スター選手が取りやめとは、かなりの打撃です。
当初出場が危ぶまれていたブッフォン(イタリア)は出場決定とのこと、彼がゴールを守ればイタリアは安泰です。

入場ゲート
親善試合のためか、スタジアム周辺は試合観戦というよりも、夕涼みにやってきた普通の人々のムード。
勝敗のかかったリーグ戦とは、緊張感が違うようです。

相変わらずチケットと身分証明書のチェックは厳しく、無事通過してスタジアム内へ。

ゴール裏席
客席は意外にも、水色カラーのアルゼンチンファンのほうが優勢な様子。
「ローマにこんなに沢山アルゼンチン人がいたのかしら?」というより、ラテンアメリカ移民の人達がスタジアムに結集したようです。

イタリアファン3人。
中には、上の写真のような3人組も。
ローマ、ユヴェントス、インテルのユニフォームをそれぞれ着ています。
こんな光景も国際マッチならでは。

楽団の入場。
選手入場。
各チームの選手が入場し、国歌斉唱。
イタリア国歌は、オペラの合唱のように派手でゴージャス。
あとで調べたら、ヴェルディによる編曲でした。

試合開始。
 Kick-off も、親善試合だけに緩〜いムードで始まった印象でした。
が、展開は予想外の成り行きに。。。

無敵のユヴェントスのゴールキーパー、ブッフォンの固い守りにも関わらず、アルゼンチンの2ゴール。
イタリアはなかなかボールをキープできない様子。
後半10分で、ゴールキーパー交代となりました。
ブッフォンには4日後に同スタジアムにてスーパーイタリア杯(ラツィオ対ユヴェントス)があるので、そこでの健闘を期待します。


後半、イタリアがなんとか1ゴールを決めて、1-2で試合終了。
いつものことですが、勝利をあきらめたイタリアファンは試合終了前からゾロゾロと帰って行ってしまいました。


バカンスシーズンということもあって、客席の入りは定員の1/3程度。
リーグ戦の殺気立ったムードもなく、ゆったりと観戦を楽しめました。
今回は一味ちがったサッカー観戦、これも面白い経験でした。


2013年5月6日月曜日

チヴィタヴェッキアへ。


今年のローマは、春を飛び越していきなり夏が来たような、強烈な日差しが4月末から始まっています。
とはいえ、天気はいまだ不安定で、今日は肌寒い雨天。。。
快晴のタイミングを見計らって、初夏の海岸へ出かけることにしました。


 今回の目的地、Civitavecchia は、ローマから海岸線を約60キロ北上した場所に位置する、ローマを代表する外港の都市です。
地中海を巡る大型客船が寄港する港として有名です。

ローマ・テルミニ駅から直通電車で約1時間で到着です。

civitavecchia駅
 駅舎を出て、右へ進むとチヴィタベッキアの港と町の中心部へ。
そして左へ進むと、日本人としては是非とも訪れたい「日本殉教者教会」があります。

教会外観。正面はアッシジの聖フランチェスコ像。
 日本殉教者教会(Chiesa dei Santi Martiri Giapponesi) は、フランチェスコ会に属する教会で、16世紀に長崎で刑死した26名のキリスト教徒のために建てられました。

簡単に歴史を紹介すると、1597年に豊臣秀吉の命により26名のキリスト教徒(宣教師1名を含む)が京都で捕らえられ、長崎にて十字架刑で殉教します。
その約260年後に、バチカンにて全員が「日本26聖人」として列聖の認定を受けます。
それを記念して建立されたのが、この教会です。

建立当時は、内装のフレスコ画はイタリア人画家による作品でしたが、当時、日本の文化に関する知識が乏しかったため、我々日本人が見るとかなり落胆する出来栄えだったそうです。

建立から約100年後の1860年、日本人のクリスチャン画家である長谷川路可の手により完成した壁画が現在に至っています。


  内部はシンプルな造りになっており、中央祭壇と、左右に3室ずつの礼拝堂で構成されています。
ドーム中央の着物姿の聖母子像が、とても印象的です。


 祭壇両脇の、殉教当時を描いたフレスコ画の日本人像も、思わず異国に居ることを忘れて見入ってしまいます。

刑場への道中。
十字架に掛けられる教徒たち。
 左右の各礼拝堂のフレスコ画も、長谷川路可の手によるもので、さりげない日本人テイストに心が温まります。
キリスト像と、天女のような6天使。

パドヴァの聖アントニオ。
アッシジの聖フランチェスコと、足元にCivitaveccihaの町。
この教会は、現在、専属で管理する神父が不在とのこと。
そのためか、堂内は少々荒れ果てたムードを感じました。
床にはゴミが散乱し、ギターを弾いて歌い談笑する若者達、お喋りの興じる清掃婦らしき人。
それはそれで、地元民の生活に溶け込んだ、アットホームな心地よさも感じましたが。
海辺のロケーションということもあって、塩害で外壁もだいぶ傷んでいます。

                  ※

教会を出ると、港まで、気持ちのよい海辺の遊歩道が続きます。


 チヴィタベッキア港といえば、停泊する高層ビルのような超大型豪華客船の姿を期待していたのですが、残念ながらこの日は見当たりませんでした。

ヴェネトの貴婦人号。
 ローマから約1時間の旅、観光スポットで溢れかえる古代都市の喧騒を離れて、のんびりと海辺の太陽を楽しむのも、良いリフレッシュになると思います。


2013年3月23日土曜日

ローママラソン2013


ローマでは、毎年3月後半になると、冬の終わりを告げるかのように3つの大イベントが開催され、街は大賑わいになります。

まず、イースター。
復活祭のミサを祝うため、世界各国からのキリスト教徒がバチカンへ集まります。

そして、聖パトリック・デイ。
これはアイルランドのお祭りですが、ちょうどこの時期にラグビーの国際試合「6 Nations」のイタリア対アイルランドの試合がローマで開催されるため、ローマ中心部は緑の帽子のアイルランド人で賑わいます。

そして、今回の本題、「Maratona di Roma」も3月後半の日曜日です。

1995年から始まり、今年で第19回目を数えるローママラソン。
42.195kmのフルマンラソンで、ローマの著名な観光名所をほぼ全て含む市街地コースになっています。

まずは、コースのご紹介。

今年は3月17日(日)朝9:00。
1万4000人のランナーが、コロッセオ前のViale Fori Imperiali からのスタートです。
(トップ写真)

1.ベネツィア広場からチルコマッシモへ。
2.ずっと南下してSan Paolo教会へ。
3.テヴェレ川沿いに北上してサンタンジェロ城。
4.サン・ピエトロ大聖堂。
5.ローマサッカーの聖地、スタジオ・オリンピコ。
6.川沿いを南下した後、Via del Corsoを通ってポポロ広場へ。
7.もちろん有名なスペイン広場、トレヴィの泉も通過します。
8.古代遺跡の立ち並ぶフォロ・ロマーノから、コロッセオ外周。
9.グラディエーターの衣装のスタッフの持つテープを切ってゴール!
 今年の優勝者は、男女共にアフリカ勢。
男子優勝者のNegari(エチオピア)は、02:07:56の快挙でした。


ローママラソンでは、人間に限らず、動物(4つ足の部)のエントリーも可能です!
コースは5km、もちろん飼い主も一緒に走ります。
参加賞として全員にフリスビー、そして上位5名(匹)には特別賞を用意されています。



ロゴマーク。個人的に気に入ってます。
ゼッケン着用です。
今年のチャンピオン。(TV画面より)

ローママラソンはプロ級の選手はもちろん、日々鍛錬に励む市民ランナー、海外からの挑戦者、そして散歩感覚で楽しむニワカランナー(7時間以内に完走すればOKです)まで、さまざまなランナーで賑わう、春の一大イベントです。