2016年3月2日水曜日

サン・ピエトロ「聖年の扉」


2015年12月8日より2016年11月20日まで、特別聖年祭「いつくしみの特別聖年」が開催されています。
この期間は、バチカンでは巡礼する信者に免償を与えるしるしとして、サン・ピエトロ大聖堂の「聖年の扉」が開かれます。
扉が開かれるのは数十年に一度という滅多にないチャンス、早朝のサン・ピエトロを訪問してみました。


♦ 聖年について ♦
「聖年(Giubileo)」は、50年に1度「聖なる」年を祝うユダヤ人の古い習慣に由来。
カトリック教会では、ローマ教皇ボニファティウス8世が西暦1300年を聖年と定めたのが始まり。
当初は100年ごとと定められたが、その後50年おき、25年おきと開催の機会が増加。
期間中には、世界中から大勢の信者がバチカンを巡礼する。

♦ いつくしみの特別聖年祭 ♦
教皇フランシスコにより、2015年12月より特別聖年祭の開催が布告される。
 「いつくしみ深く 御父のように」というモットーは、聖書の一節。
御父に倣い、人を裁かず、罪に定めず、むしろゆるし、愛とゆるしを限りなく与える、そうしたいつくしみを生きるように、というメッセージを持つ。

入場チケットは、広場正面の大通りにある巡礼インフォメーションセンター(Via Conciliazione 7)にて、無料で入手できます。


広場前にいる黄色いジャンパーのボランティアスタッフにチケットを見せて、早速入場。
朝早かったせいか、行列などは全くありませんでした。

 特別通路を通って、「聖年の扉」は正面に5つある扉のうち一番右です。


この青銅の扉は意外に歴史が新しく、制作されたのは1949年。
別名「大いなる赦しの扉」とも呼ばれ、各パネルには人間の罪と贖いに関する聖書の物語の場面が描かれています。
アダムとイブに始まり、キリスト死後の聖パオロの物語まで、1つ1つ興味深く眺めることが出来ます。


パネルの間には歴代の聖年祭を迎えた教皇の紋章が刻まれており、最新は2000年のヨハネ・パオロ2世のものです。(一番左)


扉の内側の上部には、天国の鍵を持つ聖ペトロの像が。


ちなみに、この「 聖年の扉」、聖年祭以外の通常時は下の写真のようにセメントで塗り込まれています。


扉をくぐると、聖堂内の右側廊に入ります。


すぐ右側には、有名なミケランジェロのピエタ像があります。
ピエタは私がローマで一番好きな彫刻作品ですが、 セキュリティーのためか、見学者と像の間の距離がどんどん遠くなってくるように思えて残念です。

ピエタ像

中央身廊

教皇祭壇。天蓋はベルニーニ作。

聖ペトロ像は6世紀の作品。巡礼者は像の前で祈った後に右足に接吻する。

聖堂内には、歴代教皇や聖人の墓碑などが無数にあり、1つ1つの歴史を振り返りながら見学していると気が遠くなりそうです。
次回の訪問に更なる楽しみはとっておいて、1時間ほどの見学で退出しました。

併設の売店にて、記念ペンダント(2ユーロ)を購入。
 「聖年の扉」の右下の最後のイラストが刻まれています。


又、イタリア郵便局では記念切手も販売されています。


 ところで、チケットやグッズに印刷されている、この風変りなロゴ、気になって調べてみました。

イエズス会司祭でイコン作家でもあるMarko Ivan Rupnikによって、今回の聖年祭のためにデザインされたロゴです。

「Misericordiosi Come il Padre」
 「いつくしみ深く 御父のように」(ルカ6・36による)

良き羊飼いが、迷い出た人間を連れ帰るために、両肩でしっかりと担いでいる姿が描かれています。
よく見ると、それぞれの目と目が繋がっており、そこに強いメッセージが秘められているようです。


バチカンでは3月にイースター、そして9月にはマザー・テレサの列聖式など、世界が注目する大イベントが予定されています。
ローマ市民の1人として、全てのこれら素晴らしいイベントが滞りなく開催され、11月20日には無事に聖年祭の幕を閉じることを祈るばかりです。







2015年9月17日木曜日

ボルゲーゼ美術館



【Galleria Borghese】                                         
1616年、枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼが夏の別荘として建設。                   
彼がパトロンであったベルニーニの彫刻を初め、                             
中世のイタリアを代表する、多数の芸術作品をコレクションに収める。                      
1903年よりイタリアの国立美術館として一般公開される。                        


ローマの数ある美術館の中でも、その豪華さと素晴らしい作品群、そしてボリューム的にも(バチカン博物館は広大なので気合と体力も必要)、私のお気に入りナンバー1に挙げるのが、このボルゲーゼ美術館です。
数年前までは、散歩のついでに気軽に入場できたのですが、現在は事前の予約が必須となりました。

せっかくの機会ですので気合を入れて、朝一番の9時の予約を入れて、いざ訪問。
予約の際に「30分前には到着して下さい」と言われたので、遅れないように朝6時起床で暗いうちから出かけていきました。

 8:25 到着、入り口前はすでに行列です。

8:35 ドアが開き、順番に入場手続きが始まりました。
まずはカウンターで予約番号を告げて、チケットを受け取り、次にクロークに手荷物を預けます。
バッグや携帯電話は館内持ち込み禁止となっています。

※カメラは2014年6月より持ち込みOK,作品の撮影も可能です。

身軽になって、館内のショップなどを覗きながら入場時間まで待ちます。

いよいよ9時、スタッフにチケットを見せて入場です。
階段を上って、まずは1階の展示室から。
1階は主に彫刻、2階は絵画の展示が中心となっています。

 室内に1歩入って、いきなり目に飛び込む豪華絢爛さに圧倒されてしまいました。
展示作品だけでなく、壁面、天井、調度品まで、至るところに装飾の嵐。。。
どこに視点を定めてよいのやら、クラクラしてしまいます。

しばらくすると目も慣れてきて、名作コレクションに注目します。

ベルニーニ「プロセルピーナの略奪」




ベルニーニ「ダビデ」
カノーヴァ「パオリーナ」
ベルニーニ「アポロンとダフネ」
当館の代表作であるこの彫刻の後ろに、同じ題名の興味深い絵画を発見しました。

ドッソ・ドッシ「アポロンとダフネ」
この絵画は、ベルニーニの彫刻より100年ほど前に制作されており、また違った視点からの激動の場面が表現されています。

カラヴァッジョの間
カラヴァッジョ「果物籠を持つ少年」
グエリエーリ「ロトと娘たち」
ティツィアーノ「聖愛と俗愛」
制限時間の2時間にまだ余裕があったので、館内をもう1周、今度は室内の装飾などに注目してみました。
天井画がなかなか面白いです。
ニヤニヤ笑いで見下ろす男達
この遊びはスゴイ!
子供は遊びの天才ですね
時間に余裕があれば、ぜひ、館内2周以上することをお勧めします。
目が落ち着いてきて、1周目とはまた違った発見を楽しめます。

Galleria Borghese
ボルゲーゼ公園内。
テルミニ駅よりバス910番で約15分。
開館時間:9時~19時(月曜休館)

2015年4月20日月曜日

春のボルゲーゼ公園にて。


今年は春の到来が少々遅れたローマですが、ようやく緑の中の散歩やピクニックが気持ち良い季節になりました。

早速、おなじみのボルゲーゼ公園へ、カメラを持って思い出のスポットを巡ってみました。]


【Villa Borghese】                                       
1605年、枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼが私有のヴィラとして建造。         
総面積80ヘクタール。                                       
300年近くプライベート空間として一般公開はされていなかったが、1905年にローマ市が買い取り、現在は市民や観光客が気軽に散策できる憩の場となっている。         


ボルゲーゼ公園は市内の中心にあり、さまざまな観光名所からも至近にアクセスできるので、街の喧騒から逃れて一息つくには最適です。
私が初めて訪れたのは、今から9年前の初めてのローマ旅行の時、朝の散歩にスペイン階段からテクテクと歩いてたどり着き、7月の暑さから逃れて木陰のベンチで涼を取って旅の疲れを癒したものでした。

その後、語学留学生としてローマで暮らし始めてからは、学校が終わると毎日ポポロ広場から階段を上ってピンチョの丘の周辺で友人やクラスメイトとランチを楽しんだものです。

学校卒業後は、すっかり足が遠のいてしまいましたが、久しぶりに訪れると、当時のローマでの新生活へのキラキラした期待や思い出が沢山甦ってきます。

Pincio
 まずは、ポポロ広場から階段を上ってピンチョの丘へ。

Picioから見下ろすポポロ広場

遠方にサンピエトロ寺院のクーポラ

展望台から公園の奥へ進んで行くと、ピクニックに最適なスポットがあちこちに見つかります。




 当時の定番は、常備していた折り畳みピクニックマットを開いてのランチタイム。
食材は近くの市場にて、新鮮なモッツァレラチーズ、スライス仕立ての生ハム、そして焼きたてのパンを調達して、その場でサンドイッチを作って頬張ります。
値段はたいしたことはありませんが、青空の下のランチは最高に贅沢な気分です。


さらに奥へ進んで行くと、ボート池もあります。

アスクレピオス(医学の神)の祠
 池の近くには、近年になって古い建物を改装したカフェもあります。

Cacina del Lago
ここまでが、懐かしい学生時代の散歩コース。
その日の気分に応じて、芝生でのんびり過ごしたり、歩きながらのお喋りを楽しんだり、過ごし方は様々です。

更に精力的に歩みを進めると、まだまだ魅力的なスポットに出会うことができます。


歩き疲れた時には、園内を走り回るミニトレインも。

ボルゲーゼ美術館
 有名なボルゲーゼ美術館は、ピンチョの丘から園内のほぼ反対側の端に位置します。
ベルニーニの感動的な彫刻「アポロとダフネ」を初めとして、イタリアを代表する素晴らしい美術品のコレクションは一見の価値ありです。
以前はいつでも気軽に訪れることができたのですが、最近では事前予約が必須となり、その日の思い付きで入れないのが残念です。

美術館の庭園
 美術館の建物の両脇には、手入れの行き届いた美しい庭園があります。
立ち入り禁止のため、柵の間から覗くのみですが、柵の向こうは素晴らしい別世界です。



マルゲリータの花
 冬の寒さが去ると、公園のあちこちにマルゲリータの小さな花を見かけます。
暖かい風に乗ってポプラの綿毛が飛び交うようになると、初夏はもう目の前です。





2014年8月9日土曜日

ウサギ料理に挑戦。

イスキア風ウサギ煮込み(料理本の写真)

ある盛夏の午後、近所のスーパーのチラシをぼんやりと眺めていて、ふと目に留まったのが、この写真。


ウサギ肉1キロあたり3.90ユーロ。

今まで、イタリア生活7年、イギリス生活1年の中で、スーパーで売られているウサギ肉は常に気になってはいたのですが、そういえばまだ一度も賞味したことがありません。
せっかくの機会なので(特売だし!)本腰入れてウサギ料理に挑戦してみることにしました。

まずは、1羽のウサギをどのように捌くのか???
Webで予習です。

「背骨と肋骨から肉の部分を外していく要領で。。。」

  
無理!!!!

一人、台所で向き合ういは過酷すぎる姿です。

そこで、方針変更して、すでに解体済みの肉を売っていないか、スーパーに調査に出かけました。

ちゃんとありました。
一番高価なモモ肉筆頭に、手羽先(前足?)、半身ブツ切など。
ウサギ肉コーナー、思ったよりも充実しています。



さっそく買ってきて、レシピ本も翻訳して準備万端。

ウサギ肉のイスキア風煮込み

材料:
ウサギ肉 1キロ
酢 50cc
プチトマト 500g
白ワイン 100cc
オリーブオイル 5cc
ニンニク 2片
ハーブ類(タイム、バジル、ローズマリー、マジョラム) 適量
ペペロンチーノ



1、ウサギ肉を酢水に漬けたあと、ペーパータオルで水気を拭き取る。

2、フライパンにオリーブオイルを熱し、ニンニクを炒める。

3、ニンニクを取り除き、ウサギ肉を色づくまで炒める。

4、ワインを加えるて沸騰させる。

5、トマト、塩、ハーブを加え、蓋をして30分煮込む。



 調理前に酢水に漬けるのは、おそらく臭み取か?、と肉のニオイをかいでみたところ、どうやら無臭。
ウサギは草食だから肉は臭くないんだな、と、その時は楽観的に考えていました。

煮込み中はトマトとハーブの食欲をそそる匂いが漂い、わりと簡単に完成!






1人分を取り分けます。

 おそらく前足の部分かな?
食感は鳥肉によく似ており、ちょっと弾力がある噛みごたえ、そして鳥にはない微妙な動物臭のような風味もウッスラと。。。気になるほどではありませんが。

ハーブ風味のトマト煮込みは大変美味しかったのですが、ウサギ肉自体には大きな感動はない、というのが正直な感想でした。

と、ここまではスムーズだったのですが。。。

食後数時間経って、
食べ残した骨を捨てたゴミ箱から、なんともいえない異臭が。。。!
そういえば、私の胃の中からも湧き上がってくる、なんとも言葉に言い表せない妙な感覚が。
ウサギ。。。げっ歯類。。。と連想していくと、そういえば昔飼っていたハムスターもこんな匂いがしたような。
どうやら、これがウサギ肉特有の風味なようです。

牛、豚、羊など、それぞれ特有の匂いというものはあり、食べ慣れれば感じなくなってしまうものですが、ウサギ料理ビギナーの私には衝撃的でした。
夜寝ている間も、胃の底からのウサギ臭は消えず。

今までずっと気になっていたウサギ料理をついに克服。
これも1つの経験ということで、 たぶんもう手を出すことはないかと思います。。。