ティヴォリはローマ中心部から東へ30km離れた山の上にある小さな町です。
ローマからほど近く、素晴らしい景観と共に避暑地として最適であるため、古代から皇帝、教皇、そして富豪達が数多くの別荘を建設しています。
中でも有名なのが、ローマ皇帝ハドリアヌスの別荘「Villa Adriana」と、16世紀のエステ家の別荘「Villa D'Este」 。
どちらも世界遺産に登録されており、世界中から沢山の観光客が訪れます。
Villa D'Este と Villa Adriana |
一般的なツアー観光では、上記の2つの建物を見学するのみで帰ってしまいますが、それだけではもったいない、古くから栄えた山頂の町ティヴォリには素晴らしい魅力がたくさんあります。
※
ローマ中心部からティボリへのアクセスは、地下鉄B線Ponte Mammolo駅よりCotral社バスで約40分。
途中、大規模な採石場を通過する時に硫黄のニオイが漂い、温泉タマゴなど連想してしまったりして行楽気分が高まります。
ここを抜けると山道をぐんぐん登って行き、眼下に素晴らしいパノラマが広がります。
ティヴォリの町の中心であるガリバルディ広場 で多くの乗客が下車しますので、一緒にそこで降りて、ここを散策の拠点とします。
ガリバルディ広場 |
広場の奥には展望台があり、山頂からの絶景を楽しめます。
町のほうへ目を戻すと、まずは頑強な要塞らしき建物が目に入ります。
【Rocca Pia】
1461年、教皇ピオ2世により建設。
実際の目的は、外部に対する戦闘のためではなく、当時好戦的であったティヴォリの住民達の戦意を抑制するためのものだったそうです。
ガリバルディ広場に隣接するトレント広場はVilla D'Esteの入口です。
その広場に建つのが、テイヴォリの町のメイン教会「Santa Maria Maggiore」です。
Santa Maria Maggiore教会。右がVilla D'Este入口。 |
5世紀に教皇Simplicoが別荘跡地に教会を建築したのが始まり。
15世紀には大規模な改築が行われ、現在の姿に至ります。
背後に見える鐘楼は1590年の再築されたもの。
鐘楼 |
伝説のシンボルである小鳥たちとたわむれています。
内部はシンプルかつ厳かな空間。
訪れたのは土曜日朝だったので、ミサの最中でしたが、参列者は10人ほどでした。
教会内部の作品でひときわ目を引いたのが、下の写真のマリア像の祭壇。
というか、お神輿のように人が担ぐための棒が2本取り付けられています。
調べてみたところ、この移動式祭壇は、ティヴォリで毎年8月14,15日に開催される「Inchinata」というセレモニーの主役だそうです。
「Inchinata」とは、日本語に訳すと「お辞儀」のような意味。
13世紀から続くイベントで、毎年8月14日の夜に同じくティヴォリにある聖ロレンツォ教会の「Salvatoreの祭壇画」がお神輿のように人々に担がれて、この教会のあるトレント広場へ運ばれて来ます。
それを待ち受けて、こちらのマリアの祭壇画「Madonna delle Grazie」が広場へ担ぎ出され、Salvatoreと向い合ってお辞儀(祭壇を傾ける)を3回、そして2体共に教会の中へ運ばれ一夜を過ごした後、翌日Salvatoreは自分の教会へ戻るそうです。
なんともほほえましい雰囲気ですが、数百年も続く伝統的イベント。
お辞儀が完了した時点で、夜空に打ち上げ花火が鳴り響き、夏の夜の楽しい恒例行事として、地元の人々には定着していることと想像します。
Inchinata |
Tivoli中心部Map |