2012年10月15日月曜日

山頂の修道院


イタリア国内には、上の写真のように、山の頂上に寄り添うように建物が立ち並ぶ小さな町が数多く存在します。
おそらく遠い昔に、下界の外敵や疫病から身を守るために、あえて不便な場所に人々が集まって出来たのではないでしょうか。

今回は、そんな町の1つにある、修道院の改装工事計画に立ち会う機会があって、通常ではなかなかお目にかかる事のできない大変貴重な物を見学する機会に恵まれました。

訪れたのは、ローマから東へ30kmほどにある山頂の町。
カーナビでは名前も表記のない地域の曲がりくねった山道をぐんぐん登っていきます。

 さすが山頂だけに、昼過ぎにも関わらず、視界は軽い霧に覆われています。
静かな町の中を進み、さらに山道を登っていくと、やっと目当ての修道院に到着です。

庭と展望テラス

 広大な敷地には、屋根付きの展望テラスがあり、夏場には地域の住民達が集まってバーベキューなどを楽しむそうです。

見渡す限り緑が続く、素晴らしい眺望には素直に感嘆してしまいます。
ローマの喧騒からわずか30キロとは信じられないような別世界が広がります。

テラスからの眺め1
テラスからの眺め2

さて、肝心の修道院建物のほうですが、築50年程度と意外に新しく、石造りの4階建てです。
 斜面に建っているため、2階部分が表玄関となります。
単色に塗られた地味な外観のため、教会であることは地元の住民しか分からないのではないでしょうか。
 
教会の入口
 現在は建物には誰も住んでおらず、毎週日曜日にローマ市内の教会本部から神父がやってきてミサを開いているそうです。
礼拝堂
 私が訪れたのは平日昼間であったため、建物は全て施錠されており、薄暗い建物を1つ1つ鍵を開けてもらって電気をつけて中に入っていき、まるで「お化け屋敷探索」のようなムードでした。

 礼拝堂の下、1階部分は住居の造りになっており、10年ほど前には管理人である老婆が1人で暮らしていたそうです。
住居部入口

かつての居間部分
かつての台所
 2〜4階部分は、各地から集まる修道士学生が宿泊できるようにと、全25室のシングルルームが並んでいます。
現在は壁と窓のみで、内装工事は完成しておらず、裸電球の下、ハエが飛び交う寂しい空間です。

計画では、全ての部屋をバスルーム設置のホテ並みのシングルルームに仕上げ、2階部分は宗教学生が暮らし、上階はホテルとして貸し出して収益を上げようと考えているそうです。

修道院経営の質素なホテル、下界の喧騒を忘れてひと夏をのんびり過ごすにも良いかもしれません。

宿泊棟外観
将来の客室1

将来の客室2